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最高裁判所第一小法廷 昭和59年(行ツ)45号 判決 1990年1月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人有馬毅、同崎間昌一郎、同高森浩、同美奈川成章の上告理由第一について

高等学校学習指導要領(昭和三五年文部省告示第九四号)は法規としての性質を有するとした原審の判断は、正当として是認することができ、右学習指導要領の性質をそのように解することが憲法二三条、二六条に違反するものでないことは、最高裁昭和四三年(あ)第一六一四号同五一年五月二一日大法廷判決(刑集三〇巻五号六一五頁)の趣旨とするところである。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第二について

学校教育法五一条により高等学校に準用される同法二一条が高等学校における教科書使用義務を定めたものであるとした原審の判断は、正当として是認することができ、右規定をそのように解することが憲法二六条、教育基本法一〇条に違反するものでないことは、前記最高裁判決の趣旨に徴して明らかである。また、原審の適法に確定した事実関係の下において、上告人は昭和四三年度及び同四四年度の倫理社会の授業において右の教科書使用義務に違反したとの原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第三ないし第五について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大堀誠一 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 佐藤哲郎 裁判官 四ツ谷 厳)

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